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Beauty Source キレイの魔法

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恋愛セミナー25【蛍】

第二十五帖 <蛍 ほたる>  あらすじ

玉鬘は世間的には父である源氏に言い寄られていることを悩み続けています。
打ち明けたことで源氏も悩み深くなっていますが、周りに人がいるのであからさまにはできません。
女房がいない時は源氏は直情的に迫りますが、玉鬘は美しくこぼれるばかりの愛想のよさで
相手の気分を害さないようにふるまっています。

兵部卿宮が玉鬘に真剣になり、なんとか近くで思いを伝えたい、という文を送ってきました。
源氏はその様子を見たいと、玉鬘に返事を書かせます。
結婚したら源氏から逃れられるのかしら、という考えも玉鬘に浮かぶのでした。

源氏が張り切って兵部卿宮を迎えるのを、周囲は父親としての振る舞いと思い、感心しています。
新月に雲がかかる中の、恋に悩む兵部卿宮の艶やかな美しさ。
几帳(きちょう 布を垂らした仕切り)ごしに玉鬘のいるあたりから漂う香り。
さらに源氏の衣にたき染めた匂いが相まって、さらに心惹かれた宮が
恋を連綿と語る雰囲気は並の人とはやはり違います。

様子を観察しながら、源氏はもっと宮の側に寄るようにすすめますが、玉鬘はためらっています。
源氏は玉鬘へ近づくと、ふいに几帳の中で蛍を放しました。
兵部卿宮は玉鬘が蛍の光に浮かび上がっているのを見て心を奪われてしまいます。

五月の節句には、宮廷で競射が行なわれ、参加者の多くが
そのまま六条院の花散里の町にやってくることになりました。
夕霧をはじめとした公達(きんだち 貴族の子息)や、たくさんの親王も足を運び、
様々な遊びを楽しみ、女性達は見物をします。
源氏はそのまま泊まり、昼間見た親王たちの噂を花散里と交わしました。
「兵部卿宮はどうでしたか?」という源氏の問いに花散里は
「あなたの弟君なのにもっと老けてみえました。」と応えます。

花散里は自分の町で晴れやかな催しが行なわれたことをとても嬉しく思っています。
そんな花散里を愛しく思い、心和む源氏。
それでも眠るとき源氏との間に几帳をたてた花散里は、
夫婦として寝所を共にすることなど、もう似合わないと思っています。

源氏は夕霧を紫の上には近づけないようにする一方、明石の姫には馴染ませていました。
夕霧は明石の姫と人形遊びなどをするたびに、雲居の雁のことを思い出しますが、
内大臣の息子たちの前では自分の気持ちを悟られないようにしています。
柏木の方は玉鬘との仲立ちを頼みますが、夕霧は聞こうとはしません。

内大臣は娘・弘徽殿の女御が中宮になれずじまい、
雲居の雁も東宮に嫁がせることができないので、
源氏が玉鬘を見つけ出してきたのを羨んでいます。
夕顔の娘のことを思い出し、息子達にも気をつけて探すように伝えたり、
夢占いをさせて「お子様が誰かに育てられています。」と言われたり。
過去の奔放な女性関係を思い出しては気にかけているのでした。

恋愛セミナー25
1 源氏と玉鬘      ますます怪しく
2 兵部卿宮と玉鬘   蛍の光で深まる思い
3 源氏と花散里     夫婦別床

蛍の光りに浮かぶ、美しい玉鬘。印象深いシーンです。
書物でなく女性を見るためにこんな趣向を考えるのは、源氏ならでは、ですね。
成人した高貴な女性が男性に姿を見せることは、この時代はかなりの衝撃。
姿を見たために思い詰めるのは、後の帖で夕霧も柏木も経験します。

花散里と源氏の夫婦としてのあり方はどうでしょう。
お互いに信頼しなくなって、寝室を別にしてしまうのではない。
尊重し合った上で、あえて枕を交わさないのです。

この帖では几帳がとても重要なアイテムですね。
布を垂らした向こう側は、別の部屋と同じこと。
物理的には簡単に乗り越えることができても、心理的には戸を隔てた感覚。

暗いガラス戸の向こう側に突然明かりが点いて、中にいた女性の姿が見えてときめく男性、
続きの和室で、夫と自分の間のふすまを閉めて眠る妻、そんな感じでしょうか。

さて、いよいよ内大臣が動き出しそうな気配ですね。
自分にゆかりの娘探しで、内大臣が得るものは・・・。
次の帖をお楽しみに。


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